【アドラー心理学】原因ではなく「目的」を見る。子育てにも応用可!

読書記録

「嫌われる勇気」という本を読んで、初めて”アドラー心理学”に触れました。

この書籍は”アドラー心理学”をテーマに、若者と学者の対話形式で解説したベストセラーで、初心者の私にも非常に分かりやすい内容になっていました。

私の「嫌われたくない」考えと真逆のタイトルが気になり読み始めたところ、物事に対する考え方がしっかり言語化されており、本編内で疑問に思ったことを、質問者の若者が代弁してくれていたので読み込んでしまいました。

子育てにも応用できそうな”アドラー心理学”を、これから知識を深掘りしていきたいと思います。

今回は「目的論」と「原因論」の違いについて説明したいと思います。

1、「目的論」とは何か

目的論とは、「人の行動は過去の原因ではなく、”これから達成したい目的”によって決まる」という考え方。これはアドラー心理学の中核を成す概念です。

◆目的論の基本構造

観点説明
過去ではなく未来志向行動は「何があったか」ではなく「どうなりたいか」によって選ばれる
無意識の目的多くの行動は本人も自覚していない目的を持っている
行動の再解釈過去の出来事も、現在の目的に合わせて意味づけされている

「人の行動は原因ではなく、望む未来(目的)によって決まる」とする考え方。過去を言い訳にせず、未来を選ぶ勇気を与える哲学です。

2、目的論の対義語「原因論」とは

原因論とは、人間の行動や感情は「過去の出来事や環境」によって引き起こされるとする考え方。

◆原因論の基本的な考え方

項目内容
原因重視「なぜそのような行動を取ったのか」は。過去の体験・トラウマ・環境に原因があると考える
決定論的人の現在の状態は、過去によって”決定されている”

行動の理由を過去に求めるが故に、変化への意欲や責任が弱まりやすい面もあります。

「なぜ自分はこうなったのか」を理解したいときには有効ですが、「どう変わっていくか」には目的論がより実践的です。

3、「目的論」と「原因論」違いを例で説明

◆例1:人前で話せない(あがり症)

観点原因論目的論
説明昔、発表で笑われた経験がトラウマになっているから失敗して恥をかかないように、人前で話すことを避けている
意味過去が原因で話せない「恥をかかない」という目的を達成するために話せないという行動を選んでいる

◆例2:遅刻の多い人

観点原因論目的論
説明子どもの頃から親が時間にルーズだったから遅刻することで注目されたり、責任から逃れようとしている
意味習慣や環境のせいで直らない自分の目的に適った行動として”遅れる”ことを選んでいる

◆例3:怒りっぽい性格

観点原因論目的論
説明幼少期に厳しいしつけを受け、怒りを抑えられなくなった怒ることで相手を支配したり、自分の思い通りにしたいという目的がある

4、なぜ目的論が有効なのか?

・行動の意味を再構築できる(=自分の選択肢として捉え直せる)

・過去に縛られず、未来志向になれる

・「どうなりたいか」から逆算できるので、成長につながる

◆ここの陥りやすい誤解

・「目的がある=意識している」とは限らない▶︎無意識のうちに目的を持っていることも多い

・「目的論=過去を無視」ではない▶︎過去を振り返っても、そこにとどまらず、どう生きるかに焦点を置く

5、子育てへの応用

アドラー心理学の目的論を子育てに応用すると、「子どもの行動には、すべて”何らかの目的”がある」と捉える視点が得られます。

これにより感情的に叱るのではなく。子どもの”意図”や”望んでいること”を理解し、対応できるようになります。

◆子育てにおける目的論の応用ポイント

行動表面的な見方(原因論)目的論的な見方
わがままを言う甘やかしたから注目されたい・愛されたい
嘘をつく悪い子だから叱られたくない・評価されたい
怒る・暴れる癇癪持ちだから周囲をコントロールしたい
勉強しない意志が弱い失敗したくない・劣等感を避けたい

6、子育てに活かす考え方

1、「なぜこの行動を?」ではなく「何のためにこの行動を?」と問う
  ▶︎▶︎目的を想像する癖をつける

2、目的を満たす別の方法を教える
  ▶︎▶︎例:「注目されたいなら、手伝ってくれると嬉しいよ」など代替え手段を提示

3、「怒る→萎縮させる」ではなく「理解→勇気づけ」へ
  ▶︎▶︎目的を理解することで、対立から協力へ変わる

7、親の言動も目的論で見直す

親がイライラするのも「子供を思い通りにしたい」「いい親でいたい」と言う目的があることに気づけば、自分自身も感情に振り回されずに済むようになります。

「なぜ怒ってしまったのか?」ではなく、「何のためにその行動を選んだのか?」を考えることです。これにより自分の感情や対応に対して主体的・建設的な視点が持てます。

◆目的論的な見直しのステップ

  1. 行動や感情に気づく 例:「またイライラしてしまった」
  2. 「何のためにそうしたのか?」を自問する→「子供をコントロールしたい」「いい親でいたい」などの目的に気づく
  3. その目的が本当に子供にとって有益か?を見直す→「従わせること」より「自立を育むこと」が大切では?
  4. 目的を満たすより良い方法を考える→「叱る」以外に「共感して伝える」「一緒に考える」などの方法に置き換える

◆例:朝の支度で怒ってしまう場合

親の行動表面的理由(原因論)目的論での再解釈
怒鳴る時間がないから急がせて自分の不安を減らしたい/遅刻=親の評価が下がるのを避けたい

▶︎見直し・・・怒らず子に時計を見せて自分で判断させるなど。自立を促す対応に変える

◆よくある親の目的(無意識)

  • 子供を「正しく」育てたい(評価目的)
  • 他人から良い親に見られたい(承認目的)
  • 不安を減らしたい(安心目的)

目的に気づけば、感情に振り回されにくくなり、より穏やかで目的に沿った育児が可能になります。

8、まとめ

この目的論に触れてから子供の行動一つ一つに「何の目的があるのだろうか」と考える意識を持つようになりました。そうすると、ただ泣いている子供でも、泣いている目的を探すことで解決の糸口が少し見つけやすくなったような気がします。

どんな状況においても、少しでも早く解決の糸口が見つかると、育児にも多少の余裕が出てくるように感じています。

目的論は、「未来の目的」によって決まると言う考え方です。子育てでは子供の行動の裏にある目的を理解し、叱るより導く姿勢が大切です。人生では「どうなりたいか」を軸に行動を選ぶことで、過去にとらわれずに前向きに生きられます。

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