他人の問題を背負いすぎていませんか?
「子供が勉強しない…」「同僚のやる気がない…」
そんなとき、つい「なんとかしなきゃ!」と思っていませんか?
でも、ちょっと待ってみてください。
それは本当に”あなたの問題”ですか?
アドラー心理学の中に、「課題の分離」と言う考え方があります。
私も相手の様子を伺い、相手にとっていいように行動しようと考える癖がありましたが、この考え方を知れたことで、自分のために考え行動することができるようになってきたと思います。
相手に合わせて行動すると言うことは、自分の為ではなく相手の為に生きると言うことになってしまうのです。
「課題の分離」って何?
アドラー心理学で重要な考え方の一つに「課題の分離」があります。
簡単に言えば、「それは誰の問題か?」を見極めて、必要以上に介入しないと言う姿勢です。
たとえば・・・
・子どもが宿題をしない→宿題をやるかどうかは”子どもの課題”
・上司の機嫌が悪い→機嫌を直すかどうかは”上司の課題”
・誘いを断ったら相手が怒った→怒るかどうかは”相手の課題”
つまり、自分がコントロールできない他人の反応や行動に、いちいち責任を感じる必要はないと言うことです。
大切なのは「境界線」を引くこと
課題を分けることで、自分のやるべきことに集中できるようになります。
逆に、他人の課題まで背負ってしまうと、ストレスやイライラが募る原因になります。
もちろん、見守ったり支えたりはOK。
でも、「コントロールしよう」とするのは、相手の自由を奪うことにもなります。
課題における境界線の引き方
✅基本ルール:「最終的な結果を引き受けるのは誰か?」
境界線の判断基準はとてもシンプルで、
| その行動や選択の「結果」を最終的に引き受けるのは誰?
・自分→自分の課題
・相手→相手の課題
◾️具体例で見る境界線
シチュエーション | 境界線の引き方 | 課題の持ち主 |
子どもが宿題をやらない | 注意はしても「やる/やらない」の選択は子どもに任せる | 子ども |
同僚がミスばかり | 指摘やサポートはできるが、責任を取るのは本人 | 同僚 |
親が干渉してくる | 感謝はしつつも、最終決定は自分でする | 自分 |
上司の機嫌が悪い | 自分の対応に問題なければ、感情の責任は上司にある | 上司 |
境界線を引くコツ3つ
- 「私はどこまで責任を持つべきか?」と問い直す
→相手の選択や感情まで責任を取ろうとしていないかを確認。 - 感情に飲まれない距離感を保つ
→相手の怒りや悲しみは”理解”はしても”共に抱えない”。 - 「支配」と「支援」は違うと意識する
→相手に選ばせることこそ、相手を信じている証。
| 境界線を引くのが難しいときは…
・相手や家族や親密な人だと、つい踏み込みすぎてしまう
・「助けてあげないと」「期待に応えなきゃ」と思いすぎる
そんなときは、「それは本当に”善意”か?それとも”支配”か?」を自問してみるようにしましょう。
境界線を引くことは冷たさではなく「信頼」
「課題の分離」は他人を見放すための技術ではありません。むしろ「あなたなら自分で選べる」という信頼のサインです。
◾️本来の意図
- 「あなたには、自分の人生を選ぶ力がある」
- 「私はあなたを信じているから、任せます」
- 「無理にコントロールせず、尊重します」
◾️冷たさを感じさせない伝え方のコツ
- 共感は伝えた上で、課題は分ける
「心配しているよ。でも最終的に決めるのはあなたなんだよね。」 - 感情を否定せず、選択を尊重する
「つらい気持ちは分かる。どうしたいかはあなたに任せるね。」 - ”見守っている”姿勢を明確にする
「何かあれば、いつでも話を聞くよ。応援してる。」
相手の人生に介入しすぎず、自分の課題に集中することで、より健全な人間関係を築くことができます。
育児×課題の分離:親がすべきこと、すべきではないこと
基本的な考え方は、「最終的な結果を引き受けるのは誰か?」を基準に、親と子の課題を分けることです。
✅応用例と境界線の引き方
シーン | 子どもの課題 | 親の課題 |
宿題をやらない | 勉強して結果を出すかどうか | 勉強環境を整えること |
朝起きない | 遅刻して困るのは本人 | 時間までに声をかける |
挨拶をしない | 人間関係で信頼を築けるか | 親自身が見本を見せる |
友達とケンカ | 仲直りするかどうか | 聞いて共感する |
◾️実戦のポイント
- 「やらせる」ではなく「選ばせる」
→「勉強しなさい」よりも「どうするか自分で考えてみて」 - 失敗も経験と信じる
→親が先回りして守るよりも、失敗から学ぶ力を信じる - 信頼の姿勢を伝える
→「あなたならできる」と見守ることが最大の支援
✅親が気をつけたいNG行動5選
①子どもの課題を代行する
「勉強しなさい」と口出ししすぎたり、忘れ物を親が届けたりすることは、子どもが自分で責任を負う機会を奪ってしまいます。
②結果で評価・管理する
「100点じゃなかったの?」「なんでできないの?」と結果ばかり見ていると、子どもは失敗を恐れチャレンジできなくなります。
③他人と比較する
「〇〇ちゃんはもうできるのに…」は、自分の価値を他人と比較する癖がつき、自信を失います。
④感情でコントロールする
「そんことするなもう知らない!」「怒るよ!」はついつい言いがちですが、愛情を”条件付き”で与えることになり、子どもは不安を抱えます。
⑤先回りして正解を与える
「こうしたほうがいいよ」「やっぱりこっちでしょ」は、子どもが自分で選び、失敗し、学ぶチャンスを失います。
まとめ
課題の分離は「その問題の最終的な責任を誰が負うか」を基準に、他人の課題に必要以上に介入せず、自分の課題に集中する考え方です。生活では、他人の反応や行動に振り回されず、心の余裕を持つことができます。育児では、子どもの課題(勉強・友人関係など)を尊重し、自ら考え選ぶ力を育てることに繋がります。親が見守りながら過干渉せず、信頼の姿勢を貫くことで、親子関係はより健全になり、子どもの自立を促すことができるでしょう。
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